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FIFA女子ワールドカップ開幕!~日本の審判団とVARの透明性にも期待~

FIFAによる全世界への放送権料の問題で、妙な注目を集めてしまっていた女子ワールドカップ2023も、いよいよ20日に開幕する。
日本についても開幕1週間前までやきもきさせたが、NHKが日本戦と開幕戦、決勝戦を放送することになり、あとはなでしこの活躍に期待するばかりである。
そしてもう一つの注目が、ニュージーランド対ノルウェーの開幕戦といえよう。
この開幕戦に史上初めて日本人の審判チームが指名されたのだ。
主審に山下良美さん、副審に坊薗真琴さん、手代木直美さんであり、大変名誉なことである。
この試合はNHKのBSで20日放送されるので、日本でもライブで試合の模様を観戦できるから楽しみである。山下主審は昨年、J1で女性として初めて笛を吹き、W杯カタール大会では史上初の女性審判員の1人に選ばれたうえで、初の主審、しかも開幕戦という大役を担うわけである。
そしてFIFAは今大会でのVARの運用について、18日に以下のように発表した。
ピエルルイジ・コッリーナ審判委員会会長は、審判がビデオ・アシスタント・レフェリー判定をスタジアムやテレビ視聴者にライブで説明することを明らかにし、これにより、VARのプロセスが「より透明化される」ことになる。
この取り組みは今年モロッコで開催されたクラブW杯や先月アルゼンチンで行われたU-20W杯で試験的に導入されたもので、20日に開幕するW杯は初めて本格導入される主要大会となる。
コッリーナ氏は「われわれはレフェリーが下した判定について、より透明性を持たせ、より理解してもらいたいと考えている」と述べ、「審判団はすでに練習場で放送システムを使ってトレーニングを行っている。この新しいツールは非常にポジティブなものになると確信している」としている。
 VAR判定について、ファンは以前から透明性を高めるよう求めてきた。
私もVARによって判定が覆っても、スタジアムにいる観客のみならず全世界の視聴者にも理由が伝わらない判定の仕方にはかねて疑問を持っていた。
今回の女子W杯の審判団は、ピッチ脇のスクリーンを確認後、判定とその理由、関与した選手、そして簡単な説明まで主審のマイクを通じて全世界に伝えることになる。
さらに個人的には、判断基準となった映像もテレビ中継チームの国際信号とリンクして放送で流してほしいと願っている。
一方でコッリーナ氏は、多くの審判が母語ではない英語で説明するために、余計なプレッシャーを受けることに不安はあると認め、「何事にも長所と短所がある。今後、何がベストなのかを議論し、検討していくことになる」と述べている。

ますます日本の審判団、中でも主審の山下良美さんの試合での差配が楽しみである。
VAR対象になるようなプレーが開幕戦で、何回発生するかはわからないが、全世界の視聴者にとってもわかりやすい判定理由の説明も期待しよう。そして何よりこの開幕戦を見事に裁く姿を想像している。
そして20日開幕戦の後は、いよいよ22日になでしこジャパンはザンビアと初戦を戦う。
こちらもNHKBS放送で生中継される。土曜日の、日本時間の16時キックオフは大変視聴しやすい環境に違いない。
FIFAの放送権料のあまりに高額な要求やアプローチの問題は、後日いたるところで議論すべき課題ではあるが、とにかく今は大会の開幕から、なでしこのスタートを温かく見守ろうではないか。
そして様々に進化を遂げていく道筋にある、4年に一度の女子ワールドカップの現在地2023年をきちんと見届けたいと思う。
そのうえで、なでしこジャパンの快進撃を満喫出来たら最高であろう。

(7月31日追記)
なでしこジャパンが見事にグループステージを突破して決勝トーナメントに進出した。しかも強豪スペインを4対0で破る素晴らしいゲームを筆頭に、グループリーグ全勝で勝ち点9、得点11、失点は0という完璧なサッカーである。
ノックアウトステージの初戦は優勝経験国ノルウェーであるが、今の勢いでもっと先に進んでほしいと思う。
ところで日本の初戦のザンビア戦でもVARは採用されて、特に半自動オフサイドアニメによるゴール取り消しなど、日本を応援する視聴者でも納得のいく判定になるなど、今大会のVARの透明性は発揮されていると思う。
開幕戦でもVAR発出の場面があり、日本の山下主審はマイクを通じて毅然と「オンレビューの結果、判定はペナルティー」と全世界に向けて今大会での初めてのコールをした。全体として毅然とした正確な主審ぶりは誇らしかったし、その後アメリカ対オランダ戦という大変重要な試合の主審も任されたから素晴らしい。日本代表の勝ち上がり次第だが、さらに重要な試合(準決勝以上など)を任されることも期待している。
あとは個人的には、山下さんによる開幕戦の判定理由のコールの時に、「背番号〇番のハンドの反則により、ペナルティー」とアナウンスしてもらえたら完璧だったと思う。テレビで何回もスロービデオ再生を見せられている視聴者以外の、スタジアムにいる観客にもより親切だと思うからだ。
いずれにしても、なでしこの快進撃とさらなるステージに進む予感、FIFAのVARの進化、何より日本のみならず世界の女子サッカーのさらなる発展を期待させるドラマが今、冬の季節に当たるオーストラリアとニュージーランドで熱く進行している。

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