
2月開催のSheBelieves Cupで、新生なでしこジャパンが初優勝を果たした。
オーストラリアに4対0、コロンビアに4対1と圧勝し、最終戦は同大会5連覇中のアメリカを2対1で降した。
過去のアメリカとの対戦成績は1勝8分け31敗(PK戦での勝利・敗戦は引き分け扱い)と圧倒的に後塵を拝してきた。
今回の2勝目は2012年3月5日以来13年ぶりで、初めてアウェイでアメリカを降した。
アメリカはベストメンバーではなかったようだが、パリオリンピックでアメリカに敗れたなでしこは、ニルス・ニールセン新監督の下で明らかに意識の変化と、目指すサッカーのスタイルが垣間見えたことは確かだろう。
ゲーム立ち上がりのハイプレスは意図的でかつ強力なものだった。
積極的にボールを奪いに行く守備でリズムを掴んだなでしこジャパンは、結果的にいきなり開始2分に先制点を決めた。
この試合のハイプレスについて、選手たちも手ごたえがあったことを口にした。
さらにJFA女子サッカーの佐々木委員長は「褒めちぎるっていうんですかね。日本人にないアプローチができる」と監督の選手との距離感を絶賛した。13年前に米国から勝利を挙げた当時の指揮官は「僕は褒めるまでに3年かかりました」と笑わせたが、ニールセン新監督のコミュニケーション能力の高さと人心把握の卓越さはきっと間違いないのであろう。
パリオリンピックの準々決勝では、ベタ引きしながらもアメリカの圧力に0対1と屈しベスト8どまりであった。
あれから約半年、なでしこジャパンは“真逆のサッカー”でFIFA女子ランク1位の強敵アメリカを撃破した。
どの戦術がベターかどうかはその時々のメンバーの戦力で変わるが、目指すサッカーがチーム全体で共有されて明確になることは絶対に必要なことだ。しかもその方向性が、日本人の持つ良さを最大限に引き出しながらのものであることが大事だ。
そして初陣の3連勝に浮かれては、もちろんいけない。
いずれにしても新しい監督の下で、なでしこジャパンは最高の一歩を踏み出したことは間違いない。
2011年のワールドカップ初優勝から14年の時を経て、再び世界一に返り咲くことを最大の目標にして、2027年ブラジルでのワールドカップへの道のりが始まった。
国際サッカー連盟(FIFA)が3月6日に発表したランキングで、日本は5位に浮上した。
昨年12月の前回発表時は8位で、世界のトップ5入りは2015年12月以来、9年3カ月ぶりのことだから、今後の期待値もぐっと上がる。
しかし、その矢先に残念なニュースが飛び込んできた。
国際サッカー連盟(FIFA)は、3月5日に行われた理事会において、女子ワールドカップの2031・2035年大会の立候補規定および開催要件を承認。それによれば、2031年大会はアフリカ(CAF)と北中米カリブ海(Concacaf)、2035年大会はアフリカ(CAF)と欧州(UEFA)に加盟する協会から、それぞれ立候補を募ることが決まった。
2023年大会がオーストラリア(アジア)とニュージーランド(オセアニア)で共同開催された。
2027年大会はブラジル(南米)で開催されることが決まっており、地域のバランスが考慮されたとみられる。
なお2031年大会の開催国は、2026年の第76回FIFA総会で発表される予定だ。
これにより、日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長が招致を目指すことを表明していた2031年大会の日本開催の可能性はなくなった。
そして2035年も可能性がなくなったので、仮に2039年開催を目指すにしても、あと14年は待たなくてはならない。
もちろん自国開催が女子の強化や人気獲得にとってすべてではないだろう。
しかし強烈な追い風になることだけは間違いなかったと思う。
地元開催ゆえに、大会に関する一般の方々の興味、関心が大きく寄せられる。
様々なスポンサーも投資をしてくれる。メディアも大きく取り扱い、放送も間違いなく大型編成されるに違いないからだ。
結果的にその競技の飛躍的な人気獲得や、強化にもつながっていく。
宮本会長は昨年3月の就任時、真っ先に2031年の女子W杯の招致を目指すことを表明していた。
昨年8月にはフランス・パリのFIFAオフィスでジャンニ・インファンティーノ会長と会談し、立候補の意向を伝えていた。
今回のFIFAの表明を受けて、宮本会長は次のようにコメントしている。
2031年のFIFA女子ワールドカップ招致を目指していた私たちには非常に残念な知らせです。
しかし、今回の決定にかかわらず、日本で女子サッカーを拡大していく、女子サッカーの人口を増やし、競技レベルの向上を目指していく考えに変わりはありません。間違いなく、良い流れがある今、2039年以降の女子ワールドカップ招致も視野に入れながら、ニールセン監督が率いるなでしこジャパンをはじめ、あらゆる年代の女子代表を世界一を目指して戦えるチームにしていくこと、全国各地で女子サッカーの環境を整えていくことに引き続き取り組んでいきます。これからも全国の関係者の皆さんで歩みを揃えていきましょう。
素直に非常に残念な知らせだとしたうえで、なでしこを頂点にした女子サッカーを全体的に底上げしていく方針は変わらない決意を表明している。
当然と言えば当然なのだが、なでしこの世界一奪還のみならず、これからWEリーグの集客とプロモーション、若い世代の競技者数増加と維持、女子サッカーそのものの認知アップなど、具体的な施策の遂行こそが大事であり、協会トップとしての真価がこれから問われる。
なでしこの花の特徴は、冬の寒さにも負けない強さだと聞いた。
今回のニールセン監督率いる「なでしこジャパン」は春爛漫を予感させたが、これからどのような苦難の道があるかわからない。
何より女子サッカー全体の現在地は、まだまだ冬の時代が続いていると言っても差し支えないだろう。
トップの日本代表が世界一に輝けば、多くの若い世代が女子サッカーを目指し、WEリーグなどの観客数も増加すると信じたい。
まずは美しい花ビラが満開のさまを、2027年ブラジル・ワールドカップで見てみたい。